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15の夜

  • 執筆者の写真: 29Gulls
    29Gulls
  • 2017年12月15日
  • 読了時間: 2分

15日未明。男は空を見つめボソッと呟く。

「その流れ星はいらんわ。」

授業が終わり学食で食べていると男の友達が「今日、今年一番の流星群が見えるらしいぞ!確かふたご座流星群よ。今夜、大学でコーヒーでも飲みながら天体観測しようよ」と提案する。それに賛同し何人かが手をあげました。男も手を上げようとして、急いでそのままやめました。生まれてこの方、一度も流れ星を見たことが無い男はこの場で応えることができませんでした。男が学校を出るとき、同じグループの数人が集まっていました。どうやら今夜の集合時間の相談らしかったのです。

男は家に帰るとノートパソコンと向き合います。何べんも眼を拭いながら文字を一つ一つ拾い上げます。師走の忙しさ、西条の寒さが本格的になり外に出るのが憂鬱ながら男は参戦を誓った。

14日23時半@陸上競技場横

テントを張ってお湯を沸かして、本格的だな〜。

「クリームスープ買うついでに来たわ。」と言いかけてやめた。こいつら天文部じゃん。

影裏で死んだように、でも寒空ではっきり見える星々に見とれ、綺麗な顔してる友達を見つけ観測を開始する。

・・・普通にじゃんじゃん流れ星が出てくる。最初は見つけるたび騒いでいたが、2桁見たぐらいでこれは願い叶うやろと飽きる。すると冬の大三角形・オリオン座など己の知っている天文について語る悲しき理系。

帰り際、唄を歌いながら一人一人と別れていく。

行き着く駅はわからないが、自分に正直に生きよう。

丸に渡辺星

 
 
 

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