top of page

Eve

  • 執筆者の写真: 29Gulls
    29Gulls
  • 2018年12月24日
  • 読了時間: 6分

12月24日午前1時 -某施設-

 「あ〜4連勤乗り切った!」彼の足取りは軽かった.なぜならバイトが終わり,ダブルワークのバイト仲間からKFCの差し入れをもらっていたからだ.ホクホクしながら愛しのあのこが待っている寒空の下へ向かう.しかし,怒って帰ってしまったのだろうか,あのこはいなかった.

よりによってクリスマスイブに...

ここでこんな話をするのは場違いだと思うが,あのことの思い出を語らせてもらいたい.まだ未練がある.あの子にもう一度会いたいから.

僕とあのことの出会いは大学に入学してからすぐのことだった.初めは,黒く焼けた肌のあのこへ,完全に僕の一目惚れだった.あの子のもとに足繁く通い一週間して,僕らは一緒に暮らし始めた.ただそこから僕の印象は最悪だったと思う.僕はほとんど気にかけてやらず,乱暴に扱い俺がお前の主人だと言わんばかりに亭主関白を宣言した.しかも,大学内では,先輩譲りのスマートで高スペックのこに浮気もしてしまった.2年になってからは堂々と二股をかけ,あのこを残して遠出や実家にも連れて行き親に紹介もしてしまった.

そんな僕に何も言わずずっと寄り添ってくれたあのこを,たまに拗ねて雨の日は僕に泥をかけてくるあのこを,どんな日でも一緒に大学に行ったあのこを,失ってから気づいてしまった.僕の中であのこがどれほど大きな存在だったか,あのこの心の鍵を開けたままにしてしまっていたことを,この手で守ってやれなかった自分の不甲斐なさを.

本当にごめんなさい.僕のところに戻ってきてください.

僕の愛車のMAGNIFASこと『タナベ』ちゃん.

『タナベ』ちゃんは,防犯登録のワタナベのワが消えてしまっている,ちょっと抜けてるところがある可愛いやつなんです.僕の『タナベ』ちゃんを奪ったやつは絶対に許しません.もし,街で僕の『タナベ』ちゃんに似たこを見かけたら28 渡邉へご連絡ください.

ここまでで777字使ってしまいました.みなさんも盗難には気をつけましょう.恐らく12月に入ってから,バイト先まで走っていくのを辞めてしまったからでしょう.これからはまた走って行きますね.

以下,バラモンキングのレース前々日からの続きを書いていきます.

―あらすじ―

トライアスロンへの大学最終目標であるロング完走に向け長崎へと歩を進めていた渡邉だったが,乗り継ぎを忘れ佐賀県某駅で野宿をし一夜を明かすことを決意する

6月16日(土)未明

 ガタンゴトンッ ガタンゴトンッ

結局寝落ちが怖くてオールで迎えたレース前日.

「明日の今頃は会場行きのバスに乗っているのか,ヤバイなぁ.少しでも寝ておかないと.」

始発電車の中で,ようやく眠りに就く.

「お兄さん!お兄さん!トライアスロン出るんならもう降りなあかんで!」

最悪の寝起きではあるが,救世主の声だった.長崎駅を出てからは,路面電車に乗りフェリー乗り場へと向かう.皆,ホイールやバイクを持って良いガタイをしている.血気盛んな空間の中,少しケチってジェットホイルではなく,フェリーで約3時間昼前に福江港へ向かう.

フェリーの中では小さなお子さんがはしゃいでいるのを微笑ましく見守りながら,3時間を睡眠に費やした.船を降りると大歓迎のムードで辺り一面『五島長崎トライアスロン』ではなく,時期も時期だったから『潜伏キリスタン関連遺産』(2週間後に世界文化遺産登録)との半々であった.まず会場に着くと入口付近に九州大学の方々がいた.その当時ブログで書いた「『謝罪会見』をTwitterで見たとき心配した」とのこちらの思惑どうりの感想が頂け気を良くしていると,テレビのレポーターがインタビューに来た.

「ゴールのとき言ってもらいたい言葉は?」との質問には「〇〇実習に間に合う・・」など答えた.

それからは13時過ぎからの競技説明会のため,九州大学の方々とは離れ,まず会場に荷物を置いて宅配しておいた,

僕の二股の愛人FOCUSこと『CAYO』ちゃんを受け取りに行く.

『CAYO』ちゃんは長距離乗ってわかる凄さというキラーフレーズを購入時聞き,このロングの為に学年で一番遅く購入したものだ.

受け取り場は会場近くの商店街の中の建物の二階にあり,警察の方が前に座って記名してから中に入って行く.僕は1週間ぶりの『CAYO』ちゃんを勢いよく組み立てていく.梱包の箱はそこに置いたままで,次の日以降また素早く梱包できるよう整理して置いた.再び会場に着くとまず先に選手登録に向かう.選手登録ではランギア(今回は補給を入れず,運動靴のみ入れて置いた)を預け,手首に巻かれる様子をテレビカメラにずっと撮られている.俺のTVデビューは左手首かもしれないなと思いながら,バイクを預けに外に出たが時間もなく,まずは競技説明会へ.

競技説明会では,複数回出た人が「今までの大会の中で一番暑くなると思うので,水分補給はしっかりと楽しみましょう.」と話しており,もうすぐだなと熱くなった.競技説明会を終え,愛しの『CAYO』ちゃんの元へ行くと,炎天下の中待たされていたからか,元気がなくしぼんでしまっていた.するとそこへ大会関係者の方が駆け寄って「このバイク君の?今さっき,バーンッて爆発してたよ.タイヤの替えある?なかったらあそこのテントのところで診てもらって」とテントへ持って行くと「こりゃダメだね新しいのに替えないと」と言われてしまった.

紹介が遅くなってしまった.

この大会の二週間前の月曜日のバイク練で,ショージ手前の下り坂チェーンがロックし『CAYO』ちゃんのリアタイヤが大破してしまった.なんとか落車せずバランスを取り,後ろの車に轢かれず九死に一生を得,初等組2人に助けられながら帰還したがモチベーションはだだ下がりだった.そんな時,僕は福島さんの残してくれたリアタイヤを借り,やる気を取り戻し,この決戦に挑んでいた.

話を戻そう.『CAYO』ちゃんのリアタイヤは見事に割れていた.

・・・気持ちを切り替え,五島でうまいもん食べようと予定していた食費を,全てタイヤにつぎ込み福島さんのホイールとともに『新生CAYO』ちゃんを預け,あとは宿に行き明日を待つのみとなった.

今回お世話になる『ゲストハウス海星(みそら)』さんは3人1部屋で,僕が着いた時には荷物だけあり人はいなかった.荷物をまとめ,まずは腹ごしらえだ!と店を探す探す探す・・・

「あれ?土曜日の17時ことごとく行く店が休みと被ってしまっている.福江港付近まできてしまった.」

結局,福江港から徒歩2分のところにある『うま亭』さんで長崎ちゃんぽんをいただいた.丁度大学の学食が九州フェアで,金曜日に皿うどんを食べており長崎の食を満喫できたのは良かった.そしてやはり,店の中は明日のレースの話で持ちきりだった.前年完走した松尾くんも言っていたがどうやら『ラン』が重要で,どれだけ足を残せるかが勝負らしい.

宿に戻る頃には日が暮れかかっており,宿は浜辺がすぐそばなので,暮色蒼然の刻一刻と変わる空色を眺めながら「とうとう明日かぁ.俺本当に大丈夫かな?今日寝ないと絶対無理だわ」と部屋に戻るとルームメイトも帰ってきており,「明日は必ず!」と男3人で暑い熱い握手を交わし,さぁ早いけど眠ろうとしている時

「LINE♪」

見るとそこには『もう1人のてっぺい.docx』のファイルが,

とても楽しく拝見しました.

結局その後,昔の友人やらいろいろな方とLINEをし23時にようやく眠りについた.

明日はようやく五島長崎トライアスロンが始まる.

 
 
 

Comments


bottom of page