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展望

  • 執筆者の写真: 29Gulls
    29Gulls
  • 2018年12月31日
  • 読了時間: 6分

 激動の2018年が終わろうとしている今、実家でくつろいでいる者、仕事をしている者、旅行に行っている者、ES作成に励んでいる者etc...

皆さんの1年はどうだったでしょうか?充実できた人もいれば、新たな課題を見つけ取り組めた人、挫折を味わった者、ES作成に励んだ者etc…

私は『人生は山登りの連続』と考えています。まず登りたい山という目標を見つけ、そのための地図を持ち下準備を整え、山入りする。どんな景色が見えるだろうか想像しながら楽しむ。そのために下準備ができていればいるほど山の登頂率は上がる(これは目標に対する知識や経験の数)。山は急斜面から遠回りをしなければいけないことも、獣道を通らなければいけないこともある。雨が降ったり暑すぎたり高山病になってしまって下山しなければいけないこともある。頂上まで達せなかった時、足元だけを見てしまうのは勿体無い。視線を下から前に移すだけで、見える景色は山を登る前より遠くまで見える。今まで他の山に隠れて見えなかった山を見つけるかもしれない。今まで気にもしてなかった山が魅力的に見えるかもしれない。頂上と思っていたところは頂上じゃなかったと気づくかもしれない。一歩でも上に登って見る景色は、登らない時よりも素晴らしいものだろう。

今自分は何合目にいるだろうか、この道であっているだろうか時には立ち止まって、今の立ち位置を確認する必要がある。新年一発目どんな山を登って、一年後見たい景色は何だろうか?今年見たかった景色の一つであるロングを完走した自分とは?

6月17日5時会場行きのバスに向かい歩を進める。バスには多くの人が乗り込み、始まりの号砲を今か今かと待ちわびている。会場に着くと預けておいたCAYOちゃんの元へ行き最後の微調整を終わらせる。今回、補給で持っていくものは羊羹5個、いちご飴5個、ショッツ2個、エネルギードリンク一本、水一本。昨日の事を考え代えチューブとエアポンプを入れ入水チェックに向かう。

まだ太陽が遠く見える頃、漢と乙女たちはバラモンキングを目指して声を張り上げる

「バラモンキングに、なりたいかー!」『おー!』太鼓の音とともにスタートする。これから長く永く待ちわびた朝鮮が始まる。

スタート直後、皆が集団から抜け出そうとバトルをするのだが、スタート前「胸を蹴られて去年リタイアした人」もいるらしく、無理には前に出ないようにして第一ブイを回って、早い人が抜け出して空いたスペースで脚を使わず腕のみで泳いでいると、足を鷲掴みされる。「ここで力使いたくないから誰かわからんけど、離してくれんかなぁ」と思いながら第二ブイを回る。まだ掴んでるよこの人、陸まで掴んでたら御尊顔を拝見してやろうこのやろう。ここから長い直線に差し掛かると、この日のために新しいゴーグルを買っていたのだが、少しケチってしまい吸着力が弱かったのが原因だろうか、波も出てきてゴーグルに水が入ってくる。焦らない焦らないと自分に言い聞かせながら、それからは自分のペースで泳ぐことができ、当初の予定していたタイムより早く一周目を終える。白湯を飲み体を温めてもう一度海に入る。二周目になると、だんだん後ろのBtypeの方々に抜かれていく。ここでペースを上げるとしんどいと感じ、意識的にスピードを上げないようにセーブする。結果的にスイムは予定通りに上がりバイクギアを取ろうとすると、同年代のギアがごっそりとない。ゆっくり行きすぎたかなちょっと急ごうと思い、バイクまで行くと同年代の子を見つけた。「頑張りましょうね、皆速いですね」と声を掛け合い、バイクスタート

バイクに乗って、街を抜けると大自然が広がる。もう最高以外の言葉を思い出すことができないくらい心が躍った。沿道では皆が旗を振って応援してくれる。手を振ったりガッツポーズをすると応えてくれる。いやーこんなの一瞬で終わるやろって考えてた時期が僕にもありました。ついに周回コースに入る。山中ということもあり、静かな静かな湖畔の森の影から応援が聞こえる。対面通行になるとようやく前を走る選手との差がわかる。だいたい2kmくらい前にこの選手がいるのか追いつこうなど目標パーソンを決め上り坂に入る。なんか重い。異様に重い。気のせいかとゴリゴリ進むが、進まないし振動がもろに来る。たまらず下車すると、パンクしてんじゃん。急いで原因のささくれを取り除き代えチューブに空気を入れる。手動では全然入らずここで少し気持ちが切れかかってしまう。ようやく空気を入れ再スタートをするが、足が重たくなってしまっていた。すると「兄ちゃん大丈夫か?」「ファイト!これ登りきったら下り坂だからもうちょっと!」などと選手の方々が声をかけてくれ頑張ろうって思えた。しかし150kmを超えると頭がボーとして足が動かなくなる。Retireの文字が浮かんだ時、ショッツを飲んでいないことに気がつき飲んでみる。僕はショッツとの相性が良かったのだろう、ぐんぐん元気が出てきてそれから後は、足を使い過ぎないよう気をつけて海岸線と山の大自然を十二分に満喫してバイクを終える。予定よりも1時間遅くなってしまったが、これから重要なラン42.195kmへ気持ちを切り替える。

ランで部活ではかけないサングラスをかけスタートする。バイクで使い過ぎた足でも走り出しは軽い。予定より速い4.5min/kmぐらいで走れる。前の人をぐんぐん抜いていける。落ちる気配ないなとペースを崩さず走り続ける。

〜1時間後〜

あれ?何も固形物食べてないし、ついこの前のトイレにも寄ったのに?

トイレの呪縛から離れられない。内臓がばかになってしまった。

〜1時間20分後〜

うん。もう出よう。出るものはもうないから。

歩いている人がちらほら見えてきたが、ペースを落とし走る。沿道の子連れの家族が何か話している。

「あの人何番?」

「広島の渡邉さんって人らしいよ」

「ほら〇〇ちゃん頑張れーってあのお兄ちゃんに」

「ガンバレー」

僕は泣きそうになってしまった。沿道の方は番号を見て名前で応援してくれる。1人で参加したつもりで、知らずのうちに周りの皆に支えられている。選手皆が全員でバラモンキングにという結束を感じることができた。そして握る掌には部活のみんなが書いてくれた襷がある。

周りが暗くなった頃それでも沿道からの応援の声は止まない。残り1km拍手が聞こえ

「後1km行けるぞ!」

トライアスロン・ロングディスタンスを走り終えて、見える景色ってどんなのだろう?全く想像もつかなかった、3年間待ちわびた景色は何も見えなかった。ゴールして、体の疲れや心の疲れより先に、悔しさの涙が溢れてしまった。スイムでバイクでランでああしていれば、こうしていれば反省点しか見えてこなかった。

僕は足元しか見れていなかった。なぜトライアスロン部に入部したのか、ロングに挑戦しようとしたのか、初めの頃の気持ちを忘れていたように思える。僕は、日本中の大自然を自転車でランで駆け抜けたい、体全身で感じたい。僕の中で自然を味わえることがトライアスロンというスポーツだった。今振り返って見て、結果は反省するべきものだったが、今までで断トツ最高のレースだった。自分がやりたかったこと、味わいたかったことすべてがこのレースにはあった。様々な要因が重なり、広島大学に入学し、トライアスロン部に入部し、ロングディスタンスを完走したことは自分にとって本当によかったのだろうか?解のない問を自分に説いている感覚に似ている。僕は楽しいはずだと思うことが多く、人より多く挑戦し、人より失敗したその分成功も多かった人生だと思う。現在、僕は今までの挑戦は一つの正解例だとは思っている。これからも、自分のドキドキを信じていきたいと思う。

 
 
 

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