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SKY WALK 〜誘惑のドナウ〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エピソード3

誘惑のドナウ

 

ドナウ川は濁流が流れていた.大量の泥水がトライアスリートのレースを歓迎したのだ.

 

複数の小さなブイに仕切られたスイムのコースレイアウトによって,トライアスリートが限りある視界の中で泳ぎの安定と進路を維持するのは困難になっていた.

 

かつての長良川の濁流はドナウ川と類似していた.

今や過去となった夏のレースを彷彿させるように

トライアスリートにレースを楽しませるべきか否かという重大な判断に水を差すために….

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハムやチーズ,パプリカやキュウリやトマト….

ヨーグルトやシリアル,フルーツも豊富で朝から十分なエネルギーチャージ.

お米は無いものの,こっちの食事にもだいぶ慣れてきた.

 

 

今日は午前中にスイムコースの試泳とランコースチェック,午後からバイクコースの確認.

8:00頃に車で出発.9:00-10:30まで試泳ができる.

 

 

会場のスイムコースはドナウ川.

陸上トラックのような1周2kmのコースを左回りに1周回.単純なレイアウト.

 

 

早速ウェットスーツに着替えて泳いでみる.

村上教授,山内さん,青野社長と共にコースの半分(500m地点)まで行って折り返す.

 

 

水温は20℃前半台.ジッとしている分には冷たいが,泳ぎ始めると丁度良い.

波は穏やかで水も不味くない.ただ濁流で視界がほぼゼロ.

 

 

ウェットスーツを着替えて,続けてランコースを歩いて下見.

ドナウ川沿いの土手を折り返し,オリンピックセンターを周る1周~4.5kmを4周回.

 

 

基本フラットだけど,土手付近は片道約20m,上昇下降約3mのアップダウンがある.

エイドは1.5kmごとに計3か所配置されている.

 

 

昼食は昨夜パスタパーティーが行われたレストランでバイキング.

これも日本円\2,000程度で良心的.

ケーキなんかもあったけど,流石にレース前は我慢.

 

 

午後からは青野社長のドライブで片道40kmのバイクコースを試走.

自転車で2-2,5時間かかるコースも,車ならたったの1時間.

 

 

バイクコースは平坦な直線でテクニカルな区間は無し.

トウモロコシ畑や小麦(?)が刈り取られた後の田畑が永遠と続く.

 

 

道も基本広く,20km,40km地点にエイドがある.

10kmごとに小さな町があるため,これを目印に補給を取ることに.

 

 

路面の舗装も綺麗.ただし山内さんによると数少ないコーナリングは要注意.

雨が少なく埃が溜まったアスファルトはプロも転倒することもあるほど滑りやすいとか.

 

 

そういう話をしていると急なスコール!

一瞬にして路面に川ができるほどの雨量.

ちなみにレース当日も雨予報.ひどく降らないことを願う.

 

 

バイクコースの下見を終え,そのままブラチスラバのホテルへ.

まだ15:00.とりあえず夕食の時間までは自由時間.

テッペルはホテル近くの観光スポット,ブラチスラバ城へジョギング.

 

 

ブラチスラバ城はドナウ川の側にあり,ブラチスラバの街を見下ろしている.

歴史的な話はよく知らないけど,とりあえず敷地内に入ってみることに.

 

 

宮殿のような立派な建物は,中庭や銅像があった.

すごく風情がある,とは思うけど成り立ちを知らないため正直凄さがよく分からない.

少しでも勉強してくればよかったと少し後悔….

 

 

城付近の旧市街地は,3年前に行った長崎に似た石畳の道路.

両脇はクリーム色の壁に褐色の屋根の建物が並ぶ.

 

 

いかにもヨーロッパという感じ.

ここをジョギングするのは悪くない.

 

 

1時間ほどジョギング兼観光をして,近くのスーパーに買い出しへ.

買ったものは水ぐらい.

海外旅行で大事なことは,飲み水の確保とトイレに行けるときに行くことだと思う.

 

 

ドリンクの棚にレッドブルを発見.

しかも灰色.日本で見たことないパッケージ.

「ZERO」と書いてあるけど,何がゼロなのだろう.とりあえず買ってみる.

 

 

部屋に戻って18:00.村上教授と夕食へ.

昨日のピザ屋の3つ隣ぐらいに店を構えるレストランへ.

スロバキア人は屋外が好きなのか,店内の席は人が誰もいない.

皆,屋外で食事している.

 

 

金曜日の夜ということもあって人が多い.

それでもスロバキア人は気取らず,酒をガバガバ飲んでバカ騒ぎする人はいない.

治安も良く,ストレスフリーな街.

初日からずっと,嫌なところが見当たらない.

 

 

村上教授は昔チェコに出張で行ったときに食べた「豚のすね」という郷土料理を注文.

テッペルはスパイシービーフ的なものを注文.

 

 

スパイシーと言っても誰でも口にできる辛さで食欲をそそる.

牛肉も柔らかく,ボリュームがある.それでいて一口サイズで食べやすい.

ソースを付け合わせのブレッドに付けて食べるのも,これまた美味.

 

 

「豚のすね」も少し頂いた.

アニメで見るような赤々とした肉.

ハムとチャーシューの間の味・触感で,絶妙にビールが飲みたくなる.

 

 

これはリピートしたくなるのが分かる.

結局「豚のすね」の1/4ぐらいをいただいた.

 

 

村上教授と,とにかく色んな話をした.

出会ってからこれまで,どの話も興味深くて面白い.

質問したことに対して的確に答えてくれるだけでなく,+αの情報も教えてくれる.

さすが教授,伝え方が上手く,知識量・情報量がすごい.

 

 

トライアスロンで1番失敗したことを聞いてみた.

 

 

それはフランクフルトでのアイアンマンレースのこと.

レース直前にスイム道具一式をホテルに忘れてしまったことに気づいたそう.

ゴーグルやキャップは何とか調達したものの,ウェットスーツの予備がある人はおらず.

 

 

何と20℃前後の3.8kmをノンウェットでスタート….

ノンウェットは教授含めて2,3人だったらしい.

 

 

「フランクフルトまで来て,凍えてDNFはあかんやろ!」

貧乏性だから,と村上教授は根性で泳ぎ抜き,スイムアップ.

 

 

冷え切った身体を風にさらすのは自殺行為なので,ウインドブレーカーを着て出発.

するとバイク途中で雨が降り始めて,気温と体感温度が低下.

 

 

寒さ対策をしていない選手が次々とDNF.

そんな中,村上教授はウインドブレーカーのおかげでほぼノーダメージ.

バイクフィニッシュしランもしっかり走り,見事完走.

まさに,災い転じて何とやら,というエピソード.

 

 

楽しく話していると,いつの間にか21:00が近かった.

この時期は20:00を過ぎたあたりから本格的に暗くなるようだ.

会計を済ませ,満腹のおなかを摩りながらホテルに戻る.

 

 

 

 

 

大会まで1日.

頑張れテッペル.負けるなテッペル.

スロバキア,サモリンの地を駆け抜けろ!

 

Continue…

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