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第伍話 因島、激坂の向こうに見えたもの

  • 執筆者の写真: 29Gulls
    29Gulls
  • 6月10日
  • 読了時間: 10分

皆さんこんにちは、こんばんは。06の板谷です。

6月8日に因島で行われた西日本インカレに出場してきました。1年生だった昨年はサポートとして参加したこの大会。トライアスロンのレースを見るのは初めてでしたが、先輩方の闘う姿を見てトライアスロンの魅力に一段と引き込まれていったことを思い出します。あれから1年が経過し、今度は自分が応援される側になって因島を走ることができる喜びを噛みしめながら、この1年の自分の成長をぶつける機会として最高の大会でした。

さて、今年の中四国インカレ枠は9人でした。自分の見立てでは、9枠のうち8枠は実質的に埋まっており(何があるかわからないのがレースですが…)現実的な話をすれば、残った1枠をいかにして勝ち取るか、ということに全てが掛かっているレースになるだろうと考えていました。


 ここで、せっかくなので自分の1年間を振り返ってみようと思います(長いので読み飛ばしていただいて構いません)。昨年5月の入部以降、トライアスロンの能力の低さを何度実感したことでしょう。Garminの最初のペース走を見てみると、5㎞を4分40秒で走り、平均心拍が190というものが見つかりました。とんでもないですね笑。本当に走れず、朝ジョグで息が切れていたのを思い出します。少しはできるかと思ったスイムとバイクに関してもメニューに全くついていけず、毎日の練習をこなすことに必死で、自主練なんてはるか遠い未来でした。初レースとして臨んだ赤穂では、特にランで本当に苦しみました。自分の弱点がランだなとこの頃から強く意識したように思います。夏休みに練習を積んだはやととはバイク力の差が開き、そらにも優雅にも手も足も出ず、9月末の加西以降はどこか諦めの感情があったと思います。それでも冬から春の練習の中で、スイム力に少し自信がついてきたり、COLNAGOに出会えたり、マラソンを完走したりしたことで、自分と向き合うモチベーションをつくっていくことができました。なんだかんだで06の仲間からもらった刺激が今の成長につながっています。


……過去に浸るのはこのくらいにしておきましょう。以下レースレポートになります。

レースまで

 大阪城からテスト期間を挟み、練習不足と生活習慣の乱れは否めなかった。何より、自分の弱いところをどんどん刺されているような気がしてメンタルもボロボロだった。それでも、Gullsにいる間くらいは外面をよくしておこうと無理にでも取り繕った。少しボロは出ていたと思う。テスト期間後の2日間で一気に仕上げるプランでいたので、木曜日にはローラー+ジョグ、金曜日にはミニトラ(S:500m、B:10分、R:1㎞)で仕上げたことにした。玄武さんと翼さんはもっと長い距離をしていたが、自分には厳しかった。前日の夜にはヤクルト1000をぶち込んで入眠を促した。初めての試みだったが功を奏し、非常によく眠ることができた。07からの「大会頑張ってくださいね」がいい意味でプレッシャーになって、気分を高揚させてくれていた。


前日

 昨年は平均年齢高めのハイエースだったが、今年はいい感じに学年がばらけた。特に何を話したか覚えていないが、楽しく会話できていたはず。移動中は常に何かを口にしていて、水は2L、パン2袋を昼食とは別に食べていた。

 前日調整として、試走はバイクコースを3周、ランコースを1周走った。バイクコースは風の感覚もDHバーの感覚も良く、明日はスピードに乗るレースになるだろうなと予想できた。ランは特にいうことなし。このコースを予選に選んだ人の頭を疑う。最後にトランジエリアを確認し、ついでに海の様子も観察した。時間帯がちょうどスタートの時刻だったので、このタイミングで干満や潮の流れを見ることができたのは良かったと思う。

 その後は例年通りホテルに荷物を置いて、丸亀製麺で夕食を取り、買い出しをして明日への準備を整えた。大阪城の時のいい感覚を少しでも思い出したくて、湯船に浸かり、20分かけてストレッチをしてから、10時過ぎには消灯した。(なのにGarminの睡眠時間はたった4時間!?)


目標:インカレ出場権獲得!!

Swim:24分台(ここでボーダー付近で耐える)

Bike:Ave.35㎞超、ボーダー圏内に入る

Run:4:00/㎞

距離が変更されたこともあり、タイムの目標よりもペース設定の方がいいと思っていた。また、勝ち急ぐ感覚と気持ちの焦りがあったので、あえて「レースを楽しむ」ことだけに集中するようにした。ついでに07にいい刺激を与えられたら最高。


当日

 大阪城の時の反省を生かし、もろもろの準備は確実に済ませた。何なら暇になりすぎるくらいに。補給はいつものアミノバイタル×2、ドリンクはスポドリ×グレープフルーツ×パラチノースのセット。少し濃く作りすぎた気がするが、この時は気にも留めなかった。そうこうしているうちに女子がスタート。紗代さんのレースを応援しているはずなのに、何だか自分が元気をもらえた。そのあとは一眠りし、ぬるぬるっと時間が過ぎていった。


Swim:25:18(44)、Garmin 23:58

 入水チェックの時に、今日は泳ぎやすいだろうなと直感がささやいた。徐々に緊張感が高まっていく。橋本さんと熱い握手を交わしていざ入水。ポジション取りのバトルには負けないようにしようと決めていたので、事前に想定した左側の3列目あたりを死守した。

 10秒前……プー!!スタートの合図とともに強烈なバトルが始まった。もみくちゃになりながらも、上手く空いているスペースをかき分けながら進んでいく。第一ブイに行くまでにはある程度ばらけてくれたので自分のペースをつかみかけたその時、ふと横を見ると見知った顔が。たかひろさんだった。おいおい、めっちゃ調子いいじゃんか!!そのままたかひろさんの横で上陸。飛び込みの時、前に創意さんの姿も見え、これはいけるかもとモチベが格段に上昇した。しかし、3周目。事件が起こる。3人横並びになって、スピードに乗れなくなってしまったのだ。右端に創意さん、左端に自分、そして真ん中に白キャップニキ。手は当たるし、前に出ようとしても邪魔されるし、もう何をしてもうまくいかなかった。気が付くと前に誰もいなくなってほぼ単泳。やらかした(-_-;)と思ったが、スイムアップの時に「シュウゴがボーダー、頑張れ!!」という声が届き、マジかよと全力でCOLNAGOを迎えに行った。


Bike:1:02:48(41)、Garmin 1:01:19

 ボーダーの自覚があったため、何も考えずひたすらに踏み始める。と、次の瞬間には横から重戦車1号山本が襲来。一瞬にしてボーダーから陥落した。とはいえ、前を追うことをやめるわけにはいかない。2周回目あたりで先行していた角南くんとそらを回収。しかし、ついに重戦車2号はやとです。が集団を引き連れて到着。ここにつけるか付けないかが勝負を分けるッと思い頑張ったが、どうあがいても追いつかないので諦めてそらとデート。途中、ドラフティングの審判がいるスポットでのみ先行してくる黒DOGMAがいたため、笛を吹かれてしまった。あまりにも同じムーブを繰り返すので、腹が立って仕方がなかったが我慢。サポートの皆さんの声援、九大の同期の応援が心の支えだった。ただ、シュウゴ頑張れ、の後に間髪入れずにそら頑張れ、という声を聴くたびにボーダーの戦いがここにあるんだという実感が湧いた。また、もう少しカッコよく振舞いたかったが、心拍が180を超えておりそれどころではなかった。レース前の約束通り、サポートの人が最終周回を知らせるために全力で叫んでくれていたおかげで周回数を間違えることなくT2へはいることができた。マジ感謝。



Run:37:54(32)、Garmin 37:54

 DHバーが引っかかって、バイクラックになかなか入らない。やっと掛ったら、次は靴紐が穴から抜けるミス。あたふたしている間にそらは行ってしまった。トランジエリアを出るところでよしおさんとばったり。ヤバい、ヤバい。なりふり構わず前へ脚を進める。なんと心拍200越え。こんなに足の重たいランは経験したことがなかった。はっさく屋の坂でそらを見つけるも、そこから1mmたりとも差が縮まらないという現実がさらに焦らせてくる。誰かが「まだいける!」と叫んでくれたがごめんなさい、誰かもわからないくらい視野狭窄になっていた。奥の折り返しで、「ペナルティあるからね」と教えてもらった。この時、マジで諦めそうになった。無理じゃん、追いつけるわけがない、と。けれど、不甲斐ないレースを見せるわけにはいけないという一心からひたすらに進み続けた。よしおさんが来ている。創平さんも来ている。抜いた走りなどできるはずがない。2周目に入るタイミングでペナルティを消化。その間によしおさんが迫ってきて、抜かれた。厳しいなぁ。60秒がとてつもなく長く感じた。そうこうして入った3周目(2周目の記憶はありません。サングラスを取って視界が良くなったくらいです)。はっさく屋の登りで歩いているそらをよしおさんが抜いているのが見えた。そらは抜けると確信。更に、よしおさんのペースが落ちているのも見えたので、これは追いつけるだろうと思った。予想通り、奥の折り返しでよしおさんに並走。少しだけ自分が先行する形でゴールへの一本道が始まった。この時、様々なことが頭をよぎっていた。まずは戦略のこと。絶対的な速さでは勝てるはずがない。スパートを仕掛けられる体力も残っていない。唯一の勝機があるとすれば、よしおさんがスパートをかけられない状態であることだった。そして橋本さんのブログを思い出した。勝ち切ること。勝者のメンタリティ。誰かを負かすということがどういう意味を持つのか。ここにきて、自分が今まで逃げてきたことの全てと向き合わなければならないんだなと痛感した。心がぐちゃぐちゃになった。そうこうしているうちに、最後の下り。よしおさんの背中に付くも、徐々に離されていく。まずい、まずい。追いつかないと、進まないと。しかし、目の前でよしおさんはゲートをくぐってしまっていた。以外にも決着はあっけなかった。ボーダーから7秒遅れての中四国10位でゴール。



Total:2:06:00(40)

 ゴールテープを切った後に、気が抜けたようにアスファルトに倒れこんだ。こんなに悔しいレースは初めてだった。もっとトランジうまくできたはず。ペナルティがなければ。本当に最後まで出し切れたのか。勝利への執着が足りなかったんじゃないのか。先にゴールしていた先輩方とは笑顔で会話していたが、心の奥底ではやり場のない悔しさが渦巻いていた。何より、ラストインカレのよしおさんが行けて良かった、と思ってしまっている自分に腹が立った。ほら、やっぱり勝負できてなかったんじゃないか。そう言われた気がした。


総括

 色々書きましたが、結局は実力通りのレースになったと思います。はやととの差は大阪城の時とほぼ同じだし、言い訳しても過去は変わりません。ここが今の自分の現在地です。この悔しさを受け止めて進んでいくしかありません。因島の借りは因島で返す。これから観音寺へと向かっていくGullsとともに成長し、来年必ずリベンジします。インカレメンバーに遅れることなく、成長していきたいと思います。

 最後になりましたが、サポートしてくださった先輩方、マネさん、07、本当にありがとうございました。応援の力は偉大で、完走できたのはサポートの皆さんのおかげです。少しでも期待に応える走りができていたなら幸いに思います。あと、つづりさん運転ありがとうございました。もっと運転に自信を持ってください笑。


P.S. 今日の橋本さんの挨拶を聞いて、個人的にですがGullsの一つの時代が終わった音が聞こえたような気がしました。年の離れた06である自分に良く接してくださり、気さくに、時に鋭い意見を入れてくださる橋本さん。OBの皆さんがこれだけ応援に来てくださるのも橋本さんの影響力があるからだと思います。またいつか、同じレースを走れる日を楽しみにしています。ありがとうございました。


〈次回予告〉

 悔しさの残ったインカレ予選。臥薪嘗胆の言葉通り、この思いをバネにして更なる飛躍のチャンスにできれば、きっと充実した初夏を過ごせるはずだ。

 次回、「サンポート高松トライアスロン」。この次も、サービス、サービスぅ!

 
 
 

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